第2回生涯学習研修集会

講演概要

スポーツ外傷・障害の予防は極めて重要です。これを達成するためには、まずスポーツ外傷・障害が起こる機序（メカニズム）を明らかにする必要があります。医学研究の場合、外傷メカニズムは解剖学的構造をもつ組織に対する力学的負担として表現されます。この力学的負担を和らげたり、あるいは回避したりすることが予防に繋がります。しかし、そのメカニズムが惹起される背景には、タイプの異なるリスク因子が階層的にも重なり、受傷に至るシナリオが存在することが見えてきました。本セミナーでは、膝前十字靭帯損傷を例とした、メカニズムとリスク因子の階層的理解に基づく新たな視点でのリスク予測・予防戦略について議論します。

講演概要

　荷重支持の役割が大きい下肢関節の中でも、足部・足関節は多くの骨により構成され、関節で連結されている。靱帯や関節包によって連結された関節は各々に可動性と固定性を有する。特に足部のアーチ機能は可動性を持って荷重関節に必要な衝撃吸収の機能（トラス機構）を担っている。また、歩行の立脚期に前足部で地面を押し、推進力を発揮する際、下腿三頭筋の筋力を前足部に伝えるテコの柄として足部は固定性を有する必要がある。このように可動性と固定性を両方の機能を求められる足部を中心に、距骨下関節、ショパール関節やリスフラン関節について解説する。さらに立位・歩行などの身体運動の基礎（土台）である足部・足関節の役割と身体重心を有する体幹機能との連携について解説する。