第2回生涯学習研修集会

2nd Conference of the Training for Lifelong Learning

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患者にやさしい促通反復療法と併用療法 ― 電気、振動、ロボット、再生医療 ―

川平 和美
促通反復療法研究所 <川平先端リハラボ> 所長
講演概要
 促通反復療法は麻痺の回復や運動学習の背景にある神経路(個々の指の運動や物品操作、歩行、ADL)の再建・強化に必要な目標の神経路への興奮伝達を治療者の操作によって「試行錯誤なし」で実現することから、「患者に優しく」かつ「効果的(効果/治療時間)」な治療法となっている。
 促通反復療法の治療効果は脳卒中片麻痺例(急性期、回復期、慢性期)の麻痺や物品操作障害、歩行障害、ADL障害、脊髄損傷の対麻痺、変性疾患の失行に対して科学的検証で確認されている。
 促通反復療法と神経路の興奮水準を調整するニューラルモジュレーション(電気・振動・磁気刺激やボツリヌス療法など)との療法併用は劇的に効果を高めており、再生医療後のリハビリテーション治療でも大きな貢献が期待される。
受講者へのメッセージ
 現在、介護とリハビリテーション治療の明確な区別が求められ、学会の抄録では「リハビリ」ではなく、リハビリテーション治療/医療/医学との用語が求められています。肝要なことは、理学法士が高い専門性と科学的な裏付けがあるリハビリテーション医療の知識と技術を有することです。促通反復療法の修得はその解決策でもあります。
略歴
氏名:川平 和美
現職名:促通反復療法研究所 所長、鹿児島大学 名誉教授
客員教授: 藤田医科大学、国際福祉大学
学歴と職歴
1974年 鹿児島大学医学部卒業
1988年 鹿児島大学医学部 リハビリテーション医学講座 助教授
(併任: 鹿児島大学霧島リハビリテーションセンター)
2005年 鹿児島大学大学院 機能修復学講座リハビリテーション医学 教授
2013年 定年退職
2016年 促通反復療法研究所<川平先端リハラボ> 所長
留学
1990 年 京都大学霊長類研究所
1991 年 National Institute of Health (NIH)
経歴
日本リハビリテーション医学会 理事
日本温泉気候物理医学会 副理事長
日本ニューロリハビリテーション学会 理事
再生医療とリハビリテーション研究会 代表理事
著書
1) 川平和美, 下堂薗恵, 野間知一: 片麻痺回復のための運動療法; 促通反復療法「川平法」の理論と実際. 第3版 医学書院, 2017
2) 標準PT/OT神経内科学. 第5版, 医学書院 2019
原著論文
1) KAWAHIRA K, SHIMODOZONO M, OGATA A, et al: Addition of intensive repetition of facilitation exercise to multidisciplinary rehabilitation promotes motor functional recovery of the hemiplegic lower limb. J of Rehab Med 36 (3): 159-164, 2004
2) SHMODOZONO M, NOMA T, NOMOTO Y, et al: Benefits of a repetitive facilitative exercise program for the upper paretic extremity after subacute stroke: A randomized controlled trial. Neurorehabil Neural Repair 27 (4): 296-305, 2013

CI療法

竹林 崇
大阪府立大学 総合リハビリテーション学類 准教授
講演概要
脳卒中後の上肢麻痺は対象者のQuality of lifeを低下させる大きな一要因と言われ、それらに対するアプローチは常に考案されてきた。近年では、American Heart Associationのガイドラインや、本邦の脳卒中ガイドラインにも示されているように、ロボット療法やConstraint-induced movement therapy(CI療法)といったエビデンスが確立されたアプローチ方法も根づき始めている。しかしながら、本邦のリハビリテーション領域においては、エビデンスの有無に関わらず、様々な手法が療法士主導で提供され、現在も多くの対象者は入院する病院や担当する療法士の特徴で受ける療法が異なる現状がある。さて、本講義ではエビデンスが確立されているCI療法に関して、概略と療法としての特徴を示した上で、その利点と欠点に触れる。さらに、それらを活かす、または補うために、その他の手法(ロボット療法、物理療法[電気刺激、振動刺激])装具療法をどのように併用し、対象者中心のアプローチであるEvidence based practiceを実現するかについて、その手続き、および思考の方法について、提示する。
受講者へのメッセージ
本講義は、CI療法の方法論やエビデンスだけでなく、どのように各療法を捉え、そして、その欠点を補うようにプログラムを作成するのかに関して、考え方をはじめとした思考方法をお伝えするものです。各手法の方法論を深く学ぶことも大事ですが、多角的な視点で、眼前の対象者に最良の結果をもたらすアプローチ体系を考えることの一助になることを願います。
略歴
1979年7月22日生まれ.大阪府出.2003年3月川崎医療福祉大学医療技術学部リハビリテーション 学科を卒業.2003年4月から学校法人兵庫医科大学 兵庫医科大学病院に作業療法士として入職.多種多様な疾患を呈した対象者を担当し,13年間臨床に従事する.それらの臨床経験を活かし,2012年には,アラバマ大学バーミンガム校のConstraint-induced movement therapy(CI療法)training courseの修了,JAICAにてベトナム,ホーチミン市のチョーライ病院に派遣,など国際活動に従事した.2015年4月からは,教育職に転じ,吉備国際大学の准教授として赴任し,2018年10月から,現職である大阪府立大学の准教授,2020年4月からは教授に就任している.研究の専門分野は,脳卒中後に生じる上肢麻痺に対するアプローチ.学位は,博士(医学)を取得している.
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